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第五十一話 昔語り

Auteur: 文月 澪
last update Date de publication: 2026-01-06 16:00:15

「さて、妖魔について更に踏み込んでみよう。人には少なからず霊力が備わっているというのは話したな。虫の知らせ、第六感とも言う。だがそれを真に理解している者はごく僅かだ。世の中には霊能者は数いれどその大半は偽物。その他にも漫画や小説、映画でも人気の題材だろう。だからこそ問題だと言える。中途半端な知識があるからな。その最たるものは陰陽師として名高い安倍晴明か。奴は本物だった。それが後世に伝わり虚実の入り交じった知識が蔓延している。しかし、霊力は実際に存在し、目には見えないが日常的に体から無意識に漏れ出しているものだ。気を使う、気力が無くなるなどと言うだろう? ︎︎気とはすなわち霊力の事だ。いわば人の原動力だな。それは感情が大きく動く時に強く結びつき、それが凝り固まった物が妖魔となる。その姿は伝承にある怪異とよく似ている。人の思念によって形を得るからだろう。よって人の集まる所、特に愛憎渦巻く場所に多く現れ、心霊スポットと呼ばれるようになる訳だ。学校、病院、会社。寺社や人死ひとじにのあった場所もそうだな。本人が知らずに膨大な霊力を有する場合もある。それらを監視、分析し、特務部

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    「優斗、そんなの関係ないよ。子供ができなくたって、結婚できなくたって、俺は優斗とずっと一緒にいる。もしかしたらさ、医療部が何か開発する可能性だってあるんだよ? ︎︎だって、序列二位と特級の子供だもん。きっと喉から手が出るほど欲しいんじゃないかな。法律も、変わっていくはずだよ。外国じゃ同性婚も珍しく無くなってきてる。日本でも、裁判やってるとか聞くしね。今から諦める必要はないよ」 それは優斗にとっては意外な言葉だった。何も考えていないようで、自分よりもしっかりと未来を見据えている。陰陽寮に長くいる事で、何を欲するかも理解していた。 それも全て、二人の未来のために。「そう……だな。僕達はまだ十五なんだ。急ぐ必要は無いよな」 優斗と律は見つめ合い、頷いた。 それを見ていた玲斗も、嬉しそうに微笑んでいる。我が子が、唯一の存在に出会ったのだ。喜ばない親などいないだろう。勿論、同性愛に忌避感を抱く者が多いのも事実だ。特に陰陽寮は共切の後継を残したいはず。苦難は続くだろうが、二人を引き合わせたのもまた、陰陽寮なのだ。 玲斗も、妻の佐江と出会えた事には感謝している。陰陽寮の指示で、本家筋の佐江とお見合いを強制させられ、当初は嫌々ながらに従った。しかし、見合いの日に初めて目にした佐江は、それは美しく、あっという間に恋に落ちたのだ。 血筋を残すという身勝手な婚姻だが、それでも確かに愛は育った。その証が優斗だ。だからこそ、優斗の気持ちが玲斗にも分かる。「あ~……僕も佐江さんに会いたくなってきちゃったな……」 佐江とはもう何年も会っていない。電話はできる限りしているが、余計に想いが募るばかりだ。抱き合ったのも、随分昔に感じる。「優くん、弟妹欲しくない?」 いきなりとんでもない事を言い出した父に、優斗は面食らった。「は……? ︎︎何言って……」 律もキョトンとして、玲斗を見る。「だってだって! ︎︎ラブラブな二人を見てたら、僕も佐江さんとラブラブしたくなっちゃったんだもん! ︎︎うぅ、佐江さ~ん、会いたいよう……そしたらさ、一晩中抱いて、鳴かせたいな。めっちゃ可愛いんだよ。あ、ヤバい。勃ってきちゃった。昨日抜いたのにな」 優斗は聞きたくもない両親の営みを聞かされ、なんとも言えない表情を浮かべる。仲がいい事は息子としても嬉しい。だが、それを聞かされるのはちょっと遠慮

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     午前七時。 二人の姿は陰陽寮の駐車場にあった。  律は後頭部を押さえ、何やらぶつぶつと文句を垂れている。「ひどいよ優斗、思いっきり殴るんだもん。これタンコブになってない?」 いつかどこかで聞いた様な事を、律が言った。それに呆れながら、優斗はぷいっとそっぽ向く。「自業自得だろ。時間を考えろよ」 そう言いながらも、その手はしっかり律と繋がっている。 あの後、律は再戦に挑もうとしたのだ。今日は朝から実地訓練だと言うのに、何を考えているのか。優斗は呆れ気味に零す。「だって~、優斗めちゃくちゃ可愛いんだもん。我慢しろって言う方が無理だよ~」 何度も繰り返される可愛いという言葉に、優斗はじろりと睨んだ。「可愛いって言うな。僕は男だぞ。可愛いって言われても嬉しくない」 しかし律はへこたれない。「優斗、自分の可愛さ自覚した方が良いよ? ︎︎俺、すんごく心配。絶対優斗の事狙ってる奴いるもん。そんな奴ら、俺が殺しちゃうけどさ、そういう目で優斗を見られるのも嫌。優斗は俺だけのものだもん。勿論俺も優斗だけのものだよ」 律は無邪気に恐ろしい事を口走る。さすがに人を殺すのは無しだろう。律が捕まるのは、離れ離れになるという事だ。そうなれば優斗も耐えられない。叱ろうと口を開きかけると、自分を呼ぶ声が聞こえた。 そちらに目を向けると、父が手を振っている。その隣には永都の姿もあった。 手を繋いだまま、足を向けると玲斗が苦笑いをしつつ、顎を掻く。「あ~……、やっぱりそうなっちゃったか」 優斗はその態度にムッとして睨みつけた。「何? ︎︎悪い?」 口調は強気だが、その頬はうっすらと染まっている。息子の知らない一面を目の当たりにして、玲斗は慌てて両手を振った。「いやいや! ︎︎僕に文句は無いよ。優くんが幸せなら、僕も嬉しい。ただ陰陽寮が黙っていないかもと思って。君は共切の所有者だ。その血筋を残したいと考えるはずだからね」 申し訳なさそうに眉を垂れる玲斗に、優斗は少し考えて、はっきりとした口調で告げる。「精子の提供はする。それで勝手に子供でも作ればいい。ただし、僕は認知もしないし、父親になるつもりもない。それさえ認めてもらえば構わない。僕のパートナーは律だけだ」 玲斗は思わぬ言葉に目を瞬く。優斗は真面目で潔癖な所がある。友人を傍に置かないのも、その

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     律は口付けを繰り返しながら、器用にボタンを外していく。全て外すと、前を開きタンクトップをたくしあげて、指を滑り込ませる。引き締まった滑らかな肌はしっとりと湿り、既に火照っていた。 優斗は初めての感覚に身を捩るが、足の間に律がいるため身動きができない。その足も大きく開かれて、猛りきった雄芯が丸わかりだ。 優斗の身体は羞恥で更に熱を帯びていく。 それを感じ取った律も、熱い吐息を零した。「優斗、気持ちいい……?」 執拗に腰元を撫でられ焦れったいが、律の慈しむような手つきは、大事にされているという実感を伴う。「……うん……りつ、もっと……」 潤む瞳が切なげに揺れる。 それは律の理性を吹き飛ばした。 優斗の首筋に顔を埋め、舌を這わせる。それと同時に手が胸元まで上がってきた。脇から頂きを掠め、周囲を攻める。「は、ぁっ」 思わず零れる嬌声に、優斗は口を両手で覆った。しかし、それは律によって解かれる。「ダメだよ優斗。ちゃんと感じてるの聞かせて。いやらしい声、もっとちょうだい?」 その言葉を合図にしたように、頂きをきゅうっと摘む。全身を駆ける甘い痺れに、優斗は首を仰け反らせた。「あっ、ぁ」 もうタンクトップは首元まで上げられ、薄桃色の果実は外気に晒されていた。律は頂きを口に含め、舌で転がす。刺激が加わる度に、優斗は鳴いた。「優斗、可愛い……好き、大好き」 そう繰り返しながら、胸元に赤い印をつけていく。そのまま下へと向かい、ベルトに手をかけた。なんの抵抗も無く、ズボンが引きずり下ろされ、ボクサーパンツに包まれた雄芯が顕になる。下着の上からでも分かるほどヒクヒクと動く雄芯は、まるで律を誘っているようだ。「ふふ、そんなに俺が欲しい? ︎︎もうパンツびしょ濡れじゃない。初めてなのに、感度いいね」 言葉で責められ、優斗は顔を隠す。「煩い。言うな、馬鹿」 口調をきつくして言ってみても、それすら律を煽る要素でしかない。優斗の白

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     路上に広がる赤黒い染みがここだけにしか無いのだ。もし妖蟲が移動したのならば全身に浴びたであろう血の跡が続くはず。律はそれを追おうと考えていたのだがそれがどこにも見当たらない。それは妖蟲がこの場所から忽然と姿を消したという事に他ならないがそんな事例今まで聞いた事も無い。妖魔と言えど実体がある以上物理的な制約を受けるのだ。 それに気づいた時、律は総毛立った。ここは何かがおかしい。注意深く辺りを窺うが聞こえるのは葉擦れと虫の声だけ。霊場にあるべき淀んだ空気が感じられない。妖魔が出る場所には人の念が渦巻いている。恨みつらみ妬み嫉み

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